太平洋戦争の原因(開戦の経緯) |
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1800年代におきた産業革命以降、イギリス、フランス等の列強国は、
軍事力を使って、自国の民主主義、文化、宗教、経済体系などを拡大して
新たな領土や天然資源などを獲得しようとしました(帝国主義)。すなわち、
自国政府の支配下に置こう(植民地化しよう)としたのです。インドを中心に
東南アジアと中国大陸への市場拡大を目指すアメリカは1853年、江戸湾
浦賀に来航(黒船来航)し、鎖国中の日本を開国させ、
日米和親条約を結ぶ事で物資を補給する寄港地
を獲得しました。(黒船の艦隊司令長官はペリーでした。日米和親条約は
ほかの国と結んだ条約において、日本がアメリカに与えたよりも有利な条件
を認めた時は、アメリカにも自動的にその条件が認められる最恵国待遇が
含まれた条約となっていました。)その後、軍事力で劣る日本は外交的
圧力によって不平等条約をアメリカ・イギリス・フランス・ロシア・オランダ
と結びました。(安政の五カ国条約といいます。不平等条約の内容としては
外国人が日本で罪を犯しても日本の法律で裁く事ができない(領事裁判権を認め)
関税を日本で決定する事ができない(関税自主権がない)といったものでした。)
この時、日本は多くの苦難を味わい、列強国に植民地化されるかもしれない
という恐怖から1868年(明治元年)以降、国家の経済を発展させて軍事力
を増強を促す政策(富国強兵)を取るようになります。そして日本も列強各国
と同様に新たな領土や天然資源などを獲得しようとするようになりました。
(日本帝国主義)
1875年には朝鮮に対して開国を迫り、日朝修好条約を結び開国させ、
1894年には朝鮮の内政改革を巡って清国と対立を深め、同年8月には
日本から清国へ宣戦布告し、日清戦争が始まりました。
戦いは日本の勝利に終わり、1895年4月に下関条約が結ばれ、
遼東半島・台湾・澎湖諸島を手に入れます。しかし、遼東半島は
満州に利害関係にあるロシアにとって不満だった為、ロシアはフランス・
ドイツ両国をさそって、同半島の返還を日本に要求しました。(三国干渉)
これにより日本のロシアに対する敵意は増大しました。1900年、ロシアが
満州を占領すると、日本の韓国への権益を脅かすものであった為、
1904年2月にロシアに宣戦布告し、日露戦争が行われました。
(この時、ロシアの勢力拡大を嫌ったイギリスと日英同盟を結びました。
1923年に失効しました。)
日本海海戦に勝利した日本は、韓国に対する日本の指導・監督権を
手に入れ、1910年には韓国の外交権・内政権等を全て奪い、
韓国併合を行い植民地化しました。
その後、1914年にドイツ・オーストリア・ハンガリー等の同盟国と
フランス・イギリス・ロシア等の連合国との間で第一次世界大戦が起きると
日英同盟を理由に日本も連合国側に参戦しました。この際に
中国におけるドイツの根拠地である青島(チンタオ)を占領し、中国の
袁世凱政府に二十一か条の要求をつきつけました。
こうした日本の中国進出は中国への市場拡大を目指すアメリカへの
強い反感を買う事になります。1918年に第一次世界大戦が連合国の
勝利に終わると、アメリカによる日本の膨張を抑制しようとする動きが
強まります。1922年の海軍軍縮条約では、米・英各5、日本3、
仏・伊1.67の主力艦保有比率が定められました。これにより
国内では海軍の強い反発を招く事となります。
こうした中、1928年に中国で不平等条約(二十一か条の要求)撤廃の
民俗運動が高まると日本の陸軍は武力によって満州を日本の勢力下におこうと
計画し、陸軍の石原莞爾(いしはらかんじ)参謀は、1931年9月18日に奉天
郊外の柳条湖で1906年に日本政府が設立した南満州鉄道を爆破し
これを中国軍のしわざにして、軍事行動を開始しました。(満州事変)
そして、日本軍は満州を占領し、1932年には満州国を設立してしまいました。
この行動はアメリカを中心に各国に強い反発を招きます。
また、日本国内では軍中心の強力な国を作ろうという動きが加速し
1931年5月15日には、青年将校の一団が犬養毅首相を射殺するという
五・一五事件が起きました。この一連の行動により、斉藤実(さいとうまこと)
海軍大将が首相となると、1933年3月には国際連盟を脱退し
日本は孤立感を強める事となりました。このような日本の行動に列強各国は
反発を強め、ブロック経済園を作り、日本の輸出品に対しては高い関税を
かける等して日本の軍事力拡大をけん制しました。いっぽう輸入面では
綿花・石油・くず鉄・機械などにおいて、日本はアメリカへの依存度を
高めていきました。1936年になると国際連盟を脱退したドイツ・イタリア
と共に日独伊三国防共協定を結び、イギリス・フランス・アメリカとの対立が
表面化していきました。さらなる領土拡大を目指す日本は、1937年には
宣戦布告をしないまま、中国に対して日中戦争を開始しました。
戦争が長期戦の様相を呈すと、1940年9月に日本は中華民国の蒋介石政権
に対して行われていたイギリスやアメリカ合衆国などによる軍事援助ルートを
遮断しました。この行動によって、アメリカからの反感はますます強まり、
アメリカは日本に対して石油の輸出を停止しました。
また、アメリカは日本に対して中国からの全軍撤退、満州国の返還、
イタリア・ドイツとの三国同盟の解消等、飲めるはずのない条件を要求
してきた為、東条英機首相はアメリカとの戦争を決意したのです。
そして、ついに12月8日、日本の真珠湾奇襲攻撃により、太平洋戦争は
開始される事となりました。 |
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第1話:太平洋戦争の原因(開戦の経緯)
補足:日本軍(旧日本軍)の階級・組織をまとめてみた
第2話:真珠湾攻撃(ハワイ奇襲)とは?
第3話:マレー作戦(マレー・シンガポール進攻作戦)とは?
第4話:香港の戦い(香港攻略・C作戦)とは?
第5話:マレー沖海戦とは?
第6話:珊瑚海海戦とは?
第7話:ミッドウェイ海戦とは?(敗因)
第8話:前編:ガダルカナル島の戦いとは?(第一次ソロモン海戦)
第9話:後編:ガダルカナル島の戦いとは?(第二次ソロモン海戦)
第10話:マリアナ沖海戦とは?
第11話:レイテ沖海戦とは?[神風特攻隊(特別攻撃隊)の誕生]
第12話:硫黄島の戦いとは?
第13話:沖縄戦(沖縄の戦い)とは?
第14話:日本本土空襲とは?
第15話:日本の降伏(ポツダム宣言受諾)とは? |
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