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硫黄島の戦いとは?

1944年6月、マリアナ沖海戦で敗戦し、アメリカ軍にマリアナ諸島上陸を許すと

1944年11月より、マリアナの航空基地から東京・名古屋・大阪等に対して

B29による日本本土空襲が始まりました。ただ、マリアナ諸島から日本本土までの

距離は2,500kmもあり、硫黄島ではB-29を見張り、無線電信で報告する

早期警戒システム(防空監視所)の監視拠点として機能
しており、日本軍は

本土上空で戦闘機をB-29迎撃に向かわせ戦果を上げていました。

そこで、アメリカ軍は東京の南約1,080km、マリアナ諸島の北約1,100km

に位置する硫黄島を占領
して、日本本土空襲の頻度を高め、戦争の早期終結

を目指したのです。アメリカ軍が硫黄島を占領しにくると察知していた日本軍は

栗林忠道中将を指揮官とする第109師団を硫黄島に送りました。

硫黄島は169メートルの摺鉢山が盛り上がっている他はほとんど平らで、

この平たい地形は飛行場としては良いが、戦場としては実に守りにくい場所でした。

そこで栗林中将は地下30mに陣地を作ってアメリカ軍を迎え撃とうとしました。

当初、地熱が高い上に、有毒な硫黄ガスが噴出す為、地下壕の建設は無理

との意見も出されましたが、栗林中将の熱意により実行される事となりました。

地熱の高さと有毒な硫黄ガスの噴出により、1回の作業は3分〜5分程度しか

続けられず、過酷な労働により多くの死者もでましたが、工事は着々と進められ

砲爆撃に完全に耐えうる強固な地下陣地を構築しました。また、

1945年2月まで兵力の増強は続き、栗林中将は小笠原方面陸海軍最高指揮官

として陸海軍計兵力21,000名を統一した指揮下に置くことになりました。

アメリカ軍を迎え撃つ防御戦術としては、

1、アメリカ軍に位置が露見することを防ぐために、日本軍の火砲は上陸準備砲爆撃
の間は発砲を行わない。アメリカの艦艇に対する砲撃は行わない。

2、上陸された際、水際では抵抗を行わない。

3、上陸部隊が一旦約500m内陸に進んだならば、元山飛行場付近に
配置した火器による集中攻撃を加え
、さらに、海岸の北へは元山から、
南へは摺鉢山から砲撃を加える。

4、上陸部隊に可能な限りの損害を与えた後に、火砲は千鳥飛行場近くの高台
から北方へ移動する

5、バンザイ突撃を禁止し、一人十殺を目標として行動する

事などが決められました。1945年2月16日〜2月18日にかけてアメリカ軍は

硫黄島に対して爆弾120トン、ロケット弾2254発、ナパーム弾100発を空から、

16インチから5インチ砲まで3万8550発を艦艇から撃ちこんだ後、

1945年2月19日、アメリカ第3、第4、第5海兵師団、7万5144人が上陸軍として

殺到してきました。これだけの砲撃を加えたアメリカ軍は

「俺達用の日本兵は残っているのか?」と戦友と話し合う程でしたが、

アメリカ軍の兵士達は上陸後、身をもって知る事となります。上陸したアメリカ兵に

対して栗林中将の攻撃開始の合図で臼砲、迫撃砲、機関銃、その他あらゆる

火器が一斉に火を噴き、2月19日だけでアメリカ軍死者は2420人、

戦車装甲車35台、上陸用舟艇100隻を撃破
しました。しかし、アメリカ軍は

物量にものをいわせて2月23日、硫黄島で一番高い摺鉢山を陥落させ、

3月26日には硫黄島の全島を占領しました。この戦いにより、

栗林忠道中将をはじめ、これを阻止しようとした日本軍は全員玉砕しました。

この戦いにより、日本軍は守備兵力20,933名のうち20,129名が戦死し、

アメリカ軍も戦死6,821名、戦傷21,865名の被害を出しました。この戦いは

アメリカ軍地上部隊の損害が日本軍の損害を上回った稀有な戦闘であったと

同時に、アメリカが第二次大戦で最も人的損害を被った戦闘のひとつとなりました。

この事から栗林忠道中将は「太平洋戦争における日本軍人で優秀な指揮官

として広く知られ、映画やテレビ等で広く取り扱われるようになりました。
第1話:太平洋戦争の原因(開戦の経緯)

補足:日本軍(旧日本軍)の階級・組織をまとめてみた

第2話:真珠湾攻撃(ハワイ奇襲)とは?

第3話:マレー作戦(マレー・シンガポール進攻作戦)とは?

第4話:香港の戦い(香港攻略・C作戦)とは?

第5話:マレー沖海戦とは?

第6話:珊瑚海海戦とは?

第7話:ミッドウェイ海戦とは?(敗因)

第8話:前編:ガダルカナル島の戦いとは?(第一次ソロモン海戦)

第9話:後編:ガダルカナル島の戦いとは?(第二次ソロモン海戦)

第10話:マリアナ沖海戦とは?

第11話:レイテ沖海戦とは?[神風特攻隊(特別攻撃隊)の誕生]

第12話:硫黄島の戦いとは?

第13話:沖縄戦(沖縄の戦い)とは?

第14話:日本本土空襲とは?

第15話:日本の降伏(ポツダム宣言受諾)とは?
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